- 2026年9月4日
お腹の痛みが下痢と便秘を繰り返す…「交互型IBS」の複雑な悩みを紐解く【溝の口・消化器内科専門医監修】
こんにちは、川崎溝の口こぐれ大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック(旧木暮クリニック)です。
「数日間ひどい便秘でお腹がパンパンに張っていたと思ったら、急に激しい腹痛と共に水のような下痢におそわれる……」 「便秘薬を飲むと下痢になり、下痢止めを飲むと今度は便秘になってしまう。自分の腸がどうなっているのか分からない」
このように、下痢と便秘という全く正反対の症状を数日単位や数週間単位で交互に繰り返すお腹の不調に、激しい困惑とストレスを感じておられる患者様は非常に多くいらっしゃいます。 下痢への恐怖でお出かけが心配になる一方で、便秘によるお腹の張りや残便感にも苦しめられ、「予定の立てようがない」「どっちの薬を飲めばいいのか判断できない」と深く悩んでおられる方も決して少なくありません。
実は、このように下痢と便秘の双方が代わる代わる現れる状態は、過敏性腸症候群の中でも「混合型(交互型)IBS」と呼ばれる、特にコントロールが難しい病態です。
この記事では、交互型IBSとはどのような状態なのか、なぜ下痢と便秘が交互に起きるのかという身体のメカニズム、自己判断で市販薬を使い分ける危険性、そして医療機関での適切なアプローチについて、消化器内科専門医監修のもと詳細に解説します。
この記事を最後までお読みいただくことで、ご自身のお腹で起きていた複雑な現象の理由が明確になり、両極端な症状に振り回されない安定した日々を取り戻すための確実なロードマップが分かります。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
1.「下痢と便秘を繰り返す」交互型IBS(混合型IBS)とは?
まず最初にお伝えしたい結論は、「交互型IBSは、腸の運動コントロールが極端に乱れて振り子のように揺れ動いている状態であり、下痢型や便秘型よりも対処が複雑な疾患である」ということです。
過敏性腸症候群(IBS)は、症状の現れ方によって「下痢型」「便秘型」「混合型(交互型)」「分類不能型」の4つに大別されます。IBS患者様全体の中で、この交互型が占める割合は約20%〜30%(およそ3〜4人に1人)にのぼり、臨床の現場でも非常に多くご相談を受ける病態です。
交互型IBSの最大の辛さは、「症状の予測がまったくつかない」点にあります。
- 便秘の期間:腸の動きがぴたっと止まり、ウサギのフンのようなコロコロした硬い便しか出ず、お腹がパンパンに張って重苦しい。
- 下痢の期間:溜まっていたものが一決壊したかのように、突然の激しい腹痛と共に泥状や水のような便が出続け、トイレから出られなくなる。
このように、正反対の波が不定期に訪れるため、旅行や大事な仕事の計画が立てづらく、日常の生活品質(QOL)が著しく低下してしまう特徴があります。
2.なぜ下痢と便秘が交互に起きるの?「暴走と停滞」のメカニズム
なぜ、同じ人間の腸の中で「下痢(過剰な動き)」と「便秘(停滞した動き)」という真逆の現象が交互に引き起こされるのでしょうか。そこには、自律神経の極端な乱れと腸の複雑な運動異常が関係しています。
① 自律神経の「過緊張」と「反動」
腸の動きをコントロールしているのは自律神経です。ストレスやプレッシャーを感じると、自律神経の「交感神経(緊張モード)」と「副交感神経(リラックスモード)」のバランスが崩れます。
- 便秘が起きる時
緊張や疲労によって交感神経が過剰に働くと、腸が強く痙攣(けいれん)を起こして便の通り道を狭めてしまったり、ぜん動運動がストップしたりして、便秘が引き起こされます。
- 下痢が起きる時
溜まった便やガスの刺激、あるいは緊張からの急激な解放(副交感神経への急激な切り替わり)によって、今度は腸がパニックを起こし、水分を十分に吸収しないまま便を一気に押し出そうとして激しい下痢を起こします。
つまり、自律神経のスイッチが振り子のように極端から極端へと振れてしまうことで、下痢と便秘が代わる代わる現れるのです。
② 便の滞留による「物理的な刺激」
便秘の期間中、硬い便が大腸の中に長く滞留すると、その奥に溜まった未消化物や水分がスムーズに流れなくなります。滞留した便が腸の粘膜を強く圧迫し続けると、腸の神経が「危険信号」を脳に送り、溜まった硬い便の隙間から奥の水状の便を一気に排出しようと激しい収縮(下痢)を誘発することがあります。
③ 内臓知覚過敏による過剰な認知
交互型IBSの患者様は、お腹の神経センサーが通常よりも非常に過敏(内臓知覚過敏)になっています。便が少し溜まっただけで「酷い便秘だ」と強く感じて焦り、逆に少し便がゆるくなっただけで「激しい下痢だ」と脳が危険視するため、精神的なプレッシャーがさらに腸の動きを乱すという悪循環に陥りやすいのです。
3.市販薬の使い分けや「交互に繰り返すだけ」という自己判断の危険性
「便秘の時は市販の下剤を飲み、下痢になったら市販の下痢止めを飲む」 「下痢と便秘を繰り返すのは昔からの体質だから仕方がない」
このように考えて、ご自身の判断で対症療法的な市販薬を交互に服用し、何年も我慢を重ねて病院への受診を後回しにしている患者様は非常に多くいらっしゃいます。しかし、消化器内科専門医として、この「市販薬の安易な使い分けと放置」には強い危機感を持っています。
市販の強力な下剤や下痢止めを交互に使い続けると、かえって腸のリズムが破壊され、交互型の波がより激しくなる危険性があります。
さらに重要なのは、「下痢と便秘を交互に繰り返す症状の陰に、別の重大な疾患が隠れている可能性がある」という点です。
⚠️ 医療現場で実際に起こる、自己判断による放置の事例
「長年、『自分は下痢と便秘を交互に繰り返す交互型IBSだ』と思い込み、市販薬を飲み分けながら耐えていた50代の患者。しかし、徐々に便秘の期間が長くなり、下痢の際に微量の血が混ざるようになったため病院を受診。すぐに大腸カメラを行ったところ、IBSではなく、大腸の通り道の一部が狭くなっていた『進行大腸がん』を発見。がんによって通り道が狭まると、便が詰まって便秘になり、それが限界に達すると隙間から水状の便が下痢となって漏れ出すため、一見すると交互型IBSと全く同じ症状を示します。
下痢と便秘を繰り返すという症状は、大腸がん、大きくなった大腸ポリープと、全く区別がつきません。
「どうせいつもの交互型IBSだから」と自己判断して放置することは、お腹の中に隠れた本当の病気の危険信号を見落とすことに繋がります。
IBSという診断は、自己判断で下すものではありません。大腸カメラによって「大腸の中に、がんやポリープ、炎症などの物理的な悪い病気が絶対に隠れていない」という100%のお墨付きを得て初めて、自信を持って下せる診断なのです。そして、「形には問題がなかった」という確固たる事実こそが、脳の不安を和らげ、暴走する自律神経を落ち着かせるための最初の大きな一歩となります。
4.当院が提供する「怖くない大腸カメラ」と交互型に合わせた治療
「大腸カメラを受けて病気がないことを確認したいけれど、検査の時の痛みが怖いし、お尻を見られるのも恥ずかしくて受診できない……」 そんな強い葛藤や不安を抱える患者様のために、川崎溝の口こぐれ大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニックでは、徹底的に苦痛と心理的ハードルに配慮した内視鏡検査と内科治療を行っています。
腸を無理に伸ばさない高度な挿入技術「軸保持短縮法」
大腸カメラ検査で激しい痛みを感じる最大の理由は、経験の浅い医師がスコープを力任せに押し込み、お腹の中で複雑に曲がりくねっている腸の壁をグーッと引き伸ばしてしまうからです。 当院の消化器内科専門医が実践する「軸保持短縮法(じくほじたんしゅくほう)」は、スコープを押し込むのではなく、アコーディオンのように腸を手前に優しく引き寄せ、直線的に折りたたみながら進める高度なテクニックです。腸の壁が一切引っ張られないため、患者様が腸の奥で突っ張るような痛みを自覚することはありません。
鎮静剤の活用で「うとうと眠っている間」に終了
当院では、点滴から少量の鎮静剤を使用します。お薬が入ると数十秒で深いリラックス状態に導かれ、意識がうとうとと心地よく眠っているような状態になります。痛みや恐怖心を脳のレベルでまったく感じないまま、ほとんどの患者様が「えっ、もう終わったんですか?」と驚かれるうちに検査が終了します。
熟練の専門医による安心の診療環境
当院では、経験豊富な消化器内科専門医が細やかな配慮を持って診療にあたっています。プライバシーに最大限配慮した個室環境や、スリット付きの使い捨て検査着をご用意しておりますので、デリケートなお悩みも安心してお話しいただけます。検査中に見つかった将来がん化するリスクのある大腸ポリープは、その場で切除する「日帰りポリープ切除」にも対応しています。
「形」の安全を確認した後の、交互型IBSに特化した内科的アプローチ
大腸カメラで安全が確認できた後は、交互型IBSの波を安定させるための専門的な内科治療を開始します。
近年の医療では、単なる下痢止めや下剤ではなく、「便の中の水分量を調整し、硬い便は柔らかく、ゆるい便は適度な硬さに整える高分子重合体(ポリカルボフィルカルシウムなど)」や、「腸の過剰な痙攣を鎮める消化管運動調整薬」、「神経の過敏さを和らげるお薬」など、下痢と便秘の両方に効く優れた処方薬が存在します。
当院では、お薬の処方に加えて、水溶性食物繊維の摂り方や生活リズムのアドバイスを行い、極端に揺れ動くあなたのお腹を穏やかな状態へと導いていきます。
5.まとめ
下痢と便秘を交互に繰り返す「交互型IBS」は、コントロールが難しく、本当に辛い症状です。しかし、それはあなたの我慢が足りないからでも、薬の使い方が下手なせいでもありません。自律神経と腸の運動機能がパニックを起こしている正真正銘の疾患です。
大腸がんは、早期(ステージI)のうちに発見してポリープの段階で切除してしまえば、95%以上が確実に完治する病気です。だからこそ、市販薬でごまかすその場しのぎをやめて、一度病院で正しく検査を受け、「腸の形には問題がない」という確固たる安心を手に入れることが、根本的な解決への最も確実な近道となります。
「次の波が下痢なのか便秘なのか怯える生活を終わりにしたい」「安心してお出かけや仕事をしたい」と一人で抱え込む必要はまったくありません。当院の熟練の専門医による「軸保持短縮法」と「鎮静剤」を組み合わせた、大腸カメラをぜひ頼ってください。川崎溝の口こぐれ大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニックが、あなたの不安な気持ちにどこまでも寄り添い、穏やかで健やかな毎日を全力でサポートいたします。
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