- 2026年3月11日
急性虫垂炎(盲腸)とは?
突然みぞおちやへその周囲に痛みを感じ、時間の経過とともに右下腹部へと痛みが移動していく場合、「急性虫垂炎」の可能性があります。一般には「盲腸」と呼ばれていますが、正確には大腸の一部である虫垂に炎症が起こる病気を指します。発症は子どもから高齢者まで幅広くみられる急性腹症の一つです。
急性虫垂炎は適切な時期に治療を受ければ予後は良好ですが、対応が遅れると虫垂が破れて「腹膜炎」を起こすことがあります。腹膜炎に進展すると入院期間が長引き、全身状態にも影響を及ぼします。軽い腹痛と自己判断して放置することが、結果として重症化を招く場合があります。
虫垂の構造と役割
虫垂は大腸の始まりにあたる盲腸から細長く突出した管状の臓器です。長さには個人差がありますが、数センチから十数センチ程度で、腹部の右下にあります。かつては機能を持たない器官と考えられていましたが、近年では腸内細菌のバランス維持や免疫機能に関与している可能性が示唆されています。ただし、切除しても日常生活に大きな支障が生じることはありません。
虫垂の内部は細い管腔構造をしており、糞石と呼ばれる硬い便の塊やリンパ組織の腫れなどが原因で出口が閉塞すると内部に細菌が増殖しやすくなります。閉塞によって内圧が上昇し、血流障害が起こると炎症が進行します。
急性虫垂炎の原因と発症
急性虫垂炎は虫垂内腔の閉塞が原因で発症します。閉塞により分泌物が排出できなくなり、内部に細菌が増殖します。細菌感染と内圧上昇が重なることで粘膜が障害され、やがて炎症が虫垂全体へ広がります。初期は軽度の炎症にとどまりますが、進行すると壊疽性変化をきたし、穿孔へと至ることがあります。
特に若年者ではリンパ組織が発達しているため、ウイルス感染などをきっかけに虫垂の出口が腫れて閉塞する場合があります。一方で、高齢者では症状が典型的でないことも多く、診断が遅れる傾向があります。発症年齢や体質によって経過が異なる点も、この疾患の特徴です。
急性虫垂炎の症状と経過の特徴
急性虫垂炎の典型的な症状は腹痛です。初期にはみぞおちやへその周囲に鈍い痛みを感じることが多く、数時間から半日ほどで右下腹部に痛みが限局していきます。さらに発熱や吐き気、食欲不振を伴うことがあります。右下腹部を押して離したときに痛みが強まる反跳痛も特徴の一つです。
ただし、すべての患者に典型的な経過がみられるわけではありません。高齢者や妊婦、小児では症状があいまいで、腹痛の部位がはっきりしないこともあります。また、虫垂の位置によっては腰痛や排尿時痛を訴えることもあります。
急性虫垂炎の診断と検査方法
急性虫垂炎の診断は問診と身体診察を基本とし、血液検査や画像検査を組み合わせて行います。血液検査では白血球数や炎症反応の上昇がみられることが多く、炎症の程度を把握する指標となります。身体診察では右下腹部の圧痛や筋性防御の有無を確認します。
画像検査としては腹部超音波検査や腹部CT検査が有用です。超音波は被ばくがなく、小児や妊婦にも適しています。CTは虫垂の腫大や周囲脂肪織の炎症変化を詳細に評価でき、穿孔の有無も判断できます。
急性虫垂炎の治療
急性虫垂炎の治療は外科的切除が基本です。虫垂切除術は比較的確立された手術であり、近年では腹腔鏡手術が広く行われています。腹腔鏡手術は傷が小さく、術後の痛みが軽減され、回復も早い傾向があります。適切なタイミングで手術を行えば、多くの場合数日から1週間程度で退院が可能です。
一方で、炎症が軽度の場合や膿瘍形成がある場合は、抗菌薬による治療を選択することもあります。ただし、再発のリスクが残るため、年齢や全身状態、炎症の程度から判断し、治療方針を決定します。
急性虫垂炎の合併症と重症化のリスク
急性虫垂炎の治療が遅れると虫垂が穿孔し、腹腔内に膿が広がる腹膜炎を引き起こす恐れがあります。腹膜炎になると強い腹痛や高熱が出現し、全身状態が急速に悪化することがあります。さらに、敗血症へ進展すると生命に関わる状況となります。そのため、症状が強まる場合には速やかな対応が必要です。
高齢者や糖尿病患者では症状が軽く見えても炎症が進行していることがあります。また妊娠中は子宮の増大により虫垂の位置が変わり、診断が難しくなる場合があります。このようにリスクの高い患者では、より慎重な経過観察が必要です。
早期受診の重要性
急性虫垂炎は誰にでも起こりうる疾患であり、予防が難しい病気です。そのため、重要なのは早期発見と早期治療です。右下腹部の痛みが持続する場合や、痛みが次第に強くなる場合には、自己判断せず医療機関を受診することが勧められます。特に発熱や嘔吐を伴う場合は注意が必要です。
また、日常生活では暴飲暴食を避け、規則正しい食生活を心がけることが腸内環境の維持につながります。腹痛を軽視せず、異常を感じた際には速やかに医師に相談することが、重症化を防ぐ上で大切です。
川崎溝の口こぐれ大腸胃食道の内視鏡・消化器内科クリニック
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