- 2025年12月10日
- 2025年12月11日
胃がんとは?初期症状と早期発見のポイント
日本では高齢化が進むにつれて胃がんの罹患が増えており、特に五十歳以降の年代では男女ともに発症率が高くなっています。年間で多くの人が胃がんと診断され、日本人の死亡原因の中でも依然として上位に位置しています。
治療法は発展していますが、初期段階での発見率はまだ十分とはいえず、定期的な検査が欠かせません。早期の段階で症状を自覚することは難しく、潜在的に進行してから発見されることも少なくありません。胃の不調は疲労や胃炎でも起こりますが、慢性的に続く場合には専門医への相談が求められます。
胃がんの背景
日本では胃がんの発症率が高く、背景には食文化や生活習慣、感染率の違いが影響しています。特に中高年層での罹患数が突出しており、診断時には進行している例も多くなっています。胃の粘膜に長期的な刺激が加わることで細胞の変化が進み、がん化する可能性が高まります。
国内では胃がんに関連する医療研究が進み、内視鏡治療や薬剤療法など治療技術は大きく向上しています。死亡率は徐々に低下傾向にありますが、定期検診による早期発見の差が依然として明確に表れています。進行後の治療は負担が大きくなる傾向があり、早期に発見した場合との転帰には大きな差が生じます。
なお、国立がん研究センターがん情報サービスによると胃がんは2019年人口動態統計によるがん死亡では第3位でしたが、ピロリ菌感染率の低下や胃がん検診の普及で今後は罹患率・死亡率ともに今後はさらに減少していくものと予想されています。
胃がんとは?
胃がんは胃の内側を覆う粘膜細胞が異常に増殖し腫瘍化する病気です。初期段階では粘膜層にとどまりますが、進行するにつれて筋層や外膜へ浸潤し、さらに血液やリンパを介してほかの臓器へ転移することがあります。細胞が突然がん化するのではなく、慢性的な炎症や細胞分裂の繰り返しが要因となり、段階的に変化が進みます。
胃がんには大きく二つのタイプがあり、腺がんが大多数を占めています。その中で分化型と未分化型に分かれ、構造や振る舞いが異なります。また胃の部位によっても特徴が変わり、幽門側に発生するものと噴門付近に生じるものとでは症状や治療の方向性が変わる傾向があります。粘膜の状態は内視鏡検査で確認され、組織検査で確定診断が行われます。
胃がんの原因
代表的な原因として、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染があります。胃の粘膜に居着いたピロリ菌が慢性炎症を引き起こし、萎縮性胃炎や腸上皮化生などを経てがん化するリスクが上昇します。除菌治療を行うことでリスクが低下しますが、すでに粘膜変化が見られる場合には定期的な観察が必要です。
食事の影響も無視できず、塩分濃度の高い食品を頻繁に摂る習慣は胃の粘膜に負担を与えやすく、長期的に刺激を蓄積させます。また、喫煙は血流を悪化させ、粘膜の修復機能を低下させることが知られています。さらに精神的負荷の蓄積や睡眠の乱れは間接的に胃酸分泌を変動させるため、胃粘膜の保護機能に影響を及ぼす可能性があります。
胃がんの初期症状とサイン
初期の胃がんは自覚症状が乏しく、日常的な胃不調と区別がつきにくい傾向があります。食後の膨満感やみぞおちの違和感、食欲の低下がみられる場合がありますが、多くは慢性的な胃炎や疲労と重なるため見過ごされやすくなります。症状が数週間から数か月続く場合は検査の検討が必要です。
進行すると体重減少や貧血、黒っぽい便などがみられることがあります。これらは粘膜の破綻や出血を伴う場合に生じる特徴です。特に進行後は治療の選択肢が狭くなり、侵襲性の高い治療を選ぶ必要が生じます。そのため、軽い胃痛であっても慢性化する場合には放置しないことが重要です。
胃がんの進行度
胃がんは進行度に応じて病期分類が行われます。粘膜層にとどまる段階が早期がんと呼ばれ、内視鏡的治療が可能となることがあります。この段階で発見すると身体的負担が小さく、治療後の回復も比較的良好です。進行すると筋層や漿膜へ浸潤し、周囲リンパ節へ転移する可能性が高まります。
転移が確認される段階では外科的治療に加え化学療法が必要となることが一般的です。進行したがんは局所制御が難しくなるため、見つける時期が予後に直結します。治療技術が進歩しても進行後の治療期間は長期に及ぶことが多く、生活の質も大きく左右されます。
胃がんの生存率
胃がんの5年生存率は、ステージ1であれば90%を超えるとされているので、早めに気づいて治療にあたることが大切です。各自治体では、40〜50歳以上の方向けに胃がん検診を行っています。対象の方は、定期的に受けられることが大切です。また、ピロリ菌陽性の場合は、除菌により胃がんリスクは低下しその予防効果は長期にわたり持続するので除菌治療を積極的にすることを推奨いたします。
定期検診の重要性
胃がんの発見には「胃カメラ」が有用です。直接粘膜の変化を観察でき、小さな凹凸や色調変化から異常を見つけられます。組織検査によって確定診断が可能となり、治療方針が具体化されます。初回検査で異常がない場合でも一定期間ごとの検査が推奨されます。
「バリウム検査」も存在しますが粘膜表面の微細な変化の検出力は胃カメラに劣ります。しかし、検診形態として広く行われてきたため、受診のきっかけにはなりやすい特徴があります。検査方法は医療機関の設備や本人の状態により選択されますが、重要な点は継続的に受診し変化を追跡する姿勢です。
胃がんと他疾患との違い
胃がんの症状は胃炎や胃潰瘍と似ているため、自己判断で対応することが適切とはいえません。胃潰瘍は周期的に症状が変動し、薬剤が奏功すれば改善することがありますが、胃がんは自然改善が期待できないことが特徴です。慢性的な体調変化の背景に病変が潜む可能性があります。
また逆流性食道炎とは症状の生じる部位が異なり、胸やけ主体の場合は食道側を疑う必要があります。症状のみで鑑別することには限界があり、画像診断の重要性が強調されます。同じ自覚症状でも根本原因は異なるため、適切な検査を受ける意義があります。
胃がんの予防
予防にはピロリ菌検査と除菌治療が効果的な手段として位置づけられています。除菌を行うことで胃粘膜の慢性炎症が改善し、長期的なリスクを軽減できます。除菌後も粘膜変化が残る場合があるため、一定の間隔で診察を受ける意識が求められます。
日常生活では塩味の濃い食品の摂取を控え、加工食品や保存食品の摂りすぎを避けることが重要です。喫煙を継続する場合は血流障害や防御機能の低下が続きます。生活習慣の改善は胃の負担を軽減し、検査の効果を高める基盤となります。食べ過ぎや不規則な食事は胃酸分泌を乱し、粘膜の代謝に影響するため注意が必要です。
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